体外受精・胚移植法のステップ

Step-by-Step Guide
体外受精・胚移植法のステップ
Overview
治療の全体の流れ
体外受精・胚移植法(IVF-ET)は、卵巣から卵子を採取し、体外で精子と受精させた後、受精卵(胚)を子宮に戻す治療法です。当院では、事前の説明会で治療成績やスケジュール、リスク・副作用、費用について十分にご説明した上で治療を開始いたします。
治療は大きく5つのステップで進みます。排卵誘発から採卵、受精・培養、胚移植、そして妊娠判定まで、各ステップを確実にクリアしていく必要があります。お一人おひとりの状態に合わせた最適な治療プランで進めてまいります。
排卵誘発
注射薬や内服薬を使って良質な卵子を複数個育てます。患者さまの状態に応じた最適な卵巣刺激法を選択します。
採卵・採精
静脈麻酔下で卵子を採取し、同日にご主人の精液を採取・調整します。
受精・培養
一般体外受精法または顕微授精法で受精させ、タイムラプスインキュベーターで培養します。
胚移植
良好胚を子宮内に移植します。初期胚移植・胚盤胞移植・2段階胚移植から最適な方法を選択します。
妊娠判定
胚移植後10〜14日に妊娠判定を行います。黄体補充法を継続し着床をサポートします。
Step 1
排卵誘発
良質な卵子を複数個獲得するために卵巣刺激法を行います。1個の卵子よりも複数の卵子を採取することで、良質な卵子が得られる確率が高まります。また、複数個の受精卵を得ることで、妊娠に至らなくても毎回採卵を繰り返す必要がなく、2人目希望まで凍結保存も可能です。
患者さまの状態に応じて、以下の中から最適な卵巣刺激法を医師が選択します。
最も多くの卵子を得られる方法です。月経1日目から点鼻薬を使用開始し、月経3日目からHMG・FSH製剤の注射を7〜10日間連日行います。卵胞が18mm程度に発育するまで注射を続け、点鼻薬は採卵前々日の夜まで継続します。
治療前の周期の黄体期(高温期)から点鼻薬を使用開始します。月経3日目からHMG・FSH製剤の注射を7〜10日間連日行い、卵胞が18mm程度に発育するまで続けます。
黄体ホルモン(プロゲステロン製剤)を内服しながらHMG・FSH製剤の注射で卵巣刺激を行う方法です。黄体ホルモンが排卵を抑制するため、GnRHアゴニストやアンタゴニストの点鼻薬・注射を使わずに採卵まで進めることができます。注射以外の薬剤が内服薬のみとなるため、患者さまの負担が少ないのが特徴です。ただし、黄体ホルモンの影響で採卵周期での新鮮胚移植はできないため、全胚凍結して次周期以降に凍結融解胚移植を行います。
月経1〜3日目からHMG・FSH製剤の注射を7〜10日間連日行います。卵胞がある程度大きく育ったところで排卵を抑えるGnRHアンタゴニストを開始し、通常、最大卵胞径12〜14mmから投与開始して採卵日決定時まで使用します。
月経2〜3日目から内服薬を開始し、卵胞の発育を経過観察しながらHMG・FSH製剤の注射を2〜5日間併用します。卵巣への負担が比較的少ない方法です。
点鼻薬やHMG・FSH製剤を使用せず、自然に発育する卵胞を利用する方法です。院内での迅速ホルモン測定にて最適な採卵時期を決定します。
時間的に余裕のない方をできるだけ早く採卵につなげるための卵巣刺激法です。月経周期のどの時期から排卵誘発を開始しても採卵は可能であり、これまでの卵巣刺激法の治療成績と同等の結果が報告されています。
※ご自身で注射ができるように指導します。どうしても自分でできない場合は、来院して打つこともできますので遠慮せず相談してください。
Step 2
採卵・採精
HCGの注射後36〜40時間で排卵が起こるため、注射実施日の2日後の午前中に採卵を行います。当院では、痛みをお感じにならないよう原則として静脈麻酔を行い、患者さまは眠った状態で処置を受けていただきます。超音波診断装置のモニター下に採卵針を用いて、経腟的に卵胞を穿刺・吸引し卵子を採取します。所要時間は約10〜15分です。採卵後は麻酔が覚めるまでゆっくりお休みいただき、下腹部痛や出血がなければご帰宅いただきます。
採卵日当日に、ご主人には精液を採取していただきます。採取された精液は、培養液を用いて遠心・洗浄・濃縮を行った後、swim-up(スイムアップ)法で運動精子が約100%の状態に調整します。採卵日までの禁欲期間は2〜3日前後が最適です。当院で採精できない場合は、ご自宅で採取し3時間以内にお持ちいただくことも可能です。また、事前に精子を凍結保存しておく方法もあります。
Step 3
受精・培養
卵子と精子を培養液の中でそれぞれ自身の能力で受精させる方法です。採卵日の午後に卵子の入った培養液の中に、約20万/mlの濃度に調整した精子を混ぜ合わせます(媒精)。翌日に受精の確認を行います。
精液の状態が不良な場合(精子の数が少ない、運動率が悪いなど)や、一般体外受精法で受精が認められなかった場合に行います。顕微鏡で観察しながら、極細のガラス針を用いて精子1個を吸い込み、卵子の細胞質内に直接注入する方法です。当院ではMagLevitという磁気浮上型次世代除振台を導入し、顕微授精の精度向上に努めています。
受精が確認された胚は、培養器の中で大切に育てられます。当院の胚培養における一貫したコンセプトは、患者さまからお預かりした受精卵の本来持っているポテンシャルを最大限落とさないことです。培養器の点検、洗浄、滅菌処理を定期的に行い、培養条件が一定になるよう管理しています。また、取り違え防止のため、さまざまな段階で2重チェックを行っています。学会から認定を受けた胚培養士が、胚移植まで責任を持ってお世話いたします。
受精卵の発育過程を24時間連続で撮影・記録できるタイムラプスインキュベーターを導入しています。培養器から取り出すことなく胚を観察できるため、胚へのストレスを最小限に抑えながら最良の胚を選択できます。培養した受精卵の記録はUSBメモリーに記録してお渡しします。
Step 4
胚移植
受精して分割した胚を子宮に戻す、治療の総仕上げとなるステップです。
採卵から2日目か3日目に子宮に胚を戻します。胚移植の前に分割したすべての胚について、割球の均一性とフラグメントの割合によるグレード評価を行い、最も良好な胚を選択します。
採卵から5〜7日間培養し、胚盤胞まで発育したことを確認して移植または凍結保存を行います。胚盤胞では、発育状態を6段階で評価し、さらに内細胞塊と栄養芽細胞の密集度をA・B・Cの3段階で評価します(例:4AA、3BBなど)。移植胚数は原則1個で、年齢やこれまでの治療歴によって最大2個まで移植可能です。
採卵から3日目に初期分割胚を1個胚移植し、残りの胚は培養を継続して5〜7日目に胚盤胞に発育した場合に2回目の胚移植を行う方法です。
腟から柔らかい胚移植用のチューブを用いて、超音波診断装置で子宮の状態とチューブの先端を確認しながら移植します。痛みはほとんどなく、5〜10分程度で終了します。移植後はあえて安静にする必要はありません。帰宅後に普通通りの生活を送ってください。
胚移植後の着床と妊娠維持には黄体機能が重要です。天然型プロゲステロン腟座薬、内服薬を用いて、患者さまの状態に合わせた黄体補充を行います。
Step 5
妊娠判定
胚移植後10〜14日に妊娠判定を行います。検査は基本的に尿検査で行いますが、反応が薄い場合は血液検査で妊娠反応のレベルを測定して判定します。約30分で結果が出ます。
妊娠が成立した場合は、さらに約8週間は黄体補充法を継続します。
体外受精・胚移植法は多くのステップを確実にクリアしていく必要があります。実際の流れは患者さまの状態によって異なる場合がありますが、その都度スタッフが丁寧にご説明いたしますのでご安心ください。
不妊治療トップへReservation
ご予約・お問い合わせ
受付時間: 月〜土 9:00〜12:00 / 月火水金 15:30〜19:00 / 土 14:30〜17:00(木午後・日祝休診)
